発生生物学:発生異常における核小体ストレスとrDNA損傷の組織選択的影響
Nature 554, 7690 doi: 10.1038/nature25449
多くの頭蓋顔面異常は、転写やリボソーム生合成などの細胞ハウスキーピング機能の一般的な調節因子に起きたヘテロ接合性変異に起因する。これらの奇形の多くは、胚発生期に顔の構造の大半を生み出す細胞タイプである頭部神経堤細胞の欠陥により生じる結果の1つであることは分かっているが、これらの欠陥が細胞タイプ選択的に起こる機構についてはほとんど解明されていない。我々は、RNAポリメラーゼ(Pol)IとIIに依存するリボソーム生合成の転写過程の両方の制御に関わるDEADボックスRNAヘリカーゼDDX21の分子機能を調べることで、核小体の機能障害、リボソームDNA(rDNA)損傷、および頭蓋顔面奇形を結び付ける、これまで重要性が見過ごされていた機構を明らかにした。本研究では、トリーチャー・コリンズ症候群(Pol I転写装置の構成因子あるいはそのコファクターTCOF1のヘテロ接合性変異に起因する頭蓋顔面異常)と関連する遺伝的擾乱が、DDX21の核小体から核質への再局在化、クロマチン標的からのDDX21の喪失、さらにrRNAプロセシングの阻害やリボソームタンパク質遺伝子転写の低下を引き起こすことを示す。これらの影響は細胞タイプ選択的かつ細胞自律的であり、p53腫瘍抑制タンパク質の活性化を伴う。また、頭部神経堤細胞はp53を介したアポトーシスに対して感受性を示すが、DDX21が核小体やクロマチンから失われないようにすると、アポトーシスへの感受性とトリーチャー・コリンズ症候群に関連する頭蓋顔面表現型が救済される。この機構は頭部神経堤細胞に限定されたものではなく、血液形成もDDX21機能の消失に高感受性である。そのため、ダイアモンド・ブラックファン貧血と関連したリボソーム遺伝子の擾乱は、DDX21の局在化を乱す。分子レベルでは、rRNA合成の低下がDNA損傷応答を誘発し、rDNA損傷によって頭蓋顔面発生に対する組織選択的で遺伝子量依存的な影響を生じることが分かった。今回の知見をまとめると、一般的な調節因子の破綻が核小体の恒常性を損ない、組織選択的な奇形を引き起こし得る仕組みが明らかになった。

