Letter
有機化学:光酸化還元触媒反応によるカルビン等価体の合成
Nature 554, 7690 doi: 10.1038/nature25185
炭素には、4個の原子と結合し、自然界でよく見られる安定な四価構造を形成する独特な能力がある。価数が1または2不足すると、カルボカチオン、カルボアニオン、ラジカル、カルベンという、化学反応性の理解の基礎となる一連の化学種ができる。これに対して、3個の非結合電子を持つ1価の炭素であるカルビンは、比較的調べられていない反応性中間体である。カルビンが関与する反応の設計は、その極端な反応性の制御に伴う困難と効率的な供給源の不足によって制限されている。カルビンには逐次的に3つの共有結合を新たに形成するという固有の能力があることから、我々は、カルビンや関連する安定化種を生成する触媒的方法によって、「アセンブリーポイント」切断法と名付けたキラル中心の構築方法が可能になると予想した。今回我々は、可視光による光酸化還元触媒反応を用いて、カルビン種の直接的な等価体としてジアゾメチルラジカルを合成する触媒的戦略について報告する。これらのカルビン等価体は芳香環の部位選択的な炭素–水素結合開裂を誘起できるため、医薬関連物質の後期段階アセンブリーポイント官能基化の配列制御の基礎となる有用なジアゾメチル化反応が可能になる。今回の戦略は、現行の並進的な後期段階官能基化過程を補完する一方で、炭素–水素結合への目的に合ったキラル中心の組み込みを通して、生物活性を持ち得る分子のライブラリーを作成する効率的な手段をもたらす。さらに我々は、生成したカルビン等価体がラジカルとカルベンの両方の性質を示すことを利用し、豊富な化学工業原料から有益なキラル分子への直接変換を行った。

