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気候科学:平衡気候感度に対する全球の気温変動から得られる創発的な絞り込み

Nature 553, 7688 doi: 10.1038/nature25450

平衡気候感度(ECS)は、気候変動科学における最も重要な未知要因の1つである。ECSは、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が瞬時に倍増し、その後新しいCO2濃度で気候が平衡状態に達した時に生じると思われる全球平均の気温上昇と定義される。ECSはかなり理想化された定義であるにもかかわらず、気候変動に関する国際協定で重要なものであり続けており、産業革命以前の気候に対して地球温暖化を安定化するという観点から用いられることが多い。しかし、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)で提示されているECSの「もっともらしい」範囲は、25年以上の間1.5~4.5°Cのままである。ECSの値がこの範囲の上端に近づく可能性があれば、パリ協定で要求される2°Cの地球温暖化の回避の実現可能性は小さくなる。本論文では、ECSを創発的に絞り込み、中央推計値2.8°Cと、信頼限界66%の推定値(IPCCの「もっともらしい」範囲に相当する)2.2~3.4°Cを得たことを示す。今回の手法は、温暖化傾向自体ではなく、過去の長期的な温暖化に関する気温変動に注目している。我々は、複数の気候モデルのアンサンブルを用いて、全球の気温変動に関するECSと理論的に与えられた指標の間の創発的な関係を定義した。この変動の指標は、地球温暖化の観測記録からも算出でき、ECSがより厳しく絞り込まれて、ECSが1.5°C未満になる確率が3%未満に、ECSが4.5°Cを超える確率が1%未満に低下する。

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