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細胞生物学:父性染色体の喪失と代謝クライシスがツメガエルの雑種致死の一因となる

Nature 553, 7688 doi: 10.1038/nature25188

近縁種由来の卵と精子の交雑は、遺伝的多様性を生じることもあるが、不和合性のために胚致死につながることもある。生殖的隔離と種分化の原動力となる接合後障壁が生じる機構は、進化の中核を担っているが、細胞レベルでも分子レベルでもほとんど解明されていない。ツメガエル(Xenopus)属の種は、雑種形成とゲノム進化の研究に理想的な系である。アフリカツメガエル(Xenopus laevis)は、二倍体の祖先の種間交雑によって生じた異質四倍体で36本の染色体を持ち、一方でネッタイツメガエル(Xenopus tropicalis)は二倍体で20本の染色体を持ち、共通祖先から約4800万年前に分岐した。この2種間では、ゲノムサイズの違いに伴って、体のサイズの差異や、卵や卵抽出物中で形成される核や紡錘体などの細胞内構造のサイズスケーリングが見られる。それにもかかわらず、初期発生の転写プログラム、遺伝子発現パターン、タンパク質配列はおおむね保存されている。アフリカツメガエルの卵にネッタイツメガエルの精子を受精させて作った雑種は生存可能だが、その逆の雑種は原腸形成前に死に至る。今回我々は、細胞生物学的手法とハイスループット技術を利用して、雑種致死の原因となる機構を調べた。その結果、アフリカツメガエルの特定の2本の染色体がネッタイツメガエルの細胞質に適合できず、有糸分裂の際にうまく分離されないため、卵から接合子への移行の際に遺伝子発現が不均衡になり、細胞自律的で破壊的な胚の死につながることが明らかになった。これらの結果から、ゲノムの進化によって引き起こされ、生物集団が別の生物種になる過程にも寄与している雑種致死の原因となる細胞機構が明らかになった。

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