植物科学:シロイヌナズナのロイシンリッチリピート受容体キナーゼの細胞外ネットワーク
Nature 553, 7688 doi: 10.1038/nature25184
多細胞生物の細胞は表面受容体を使って細胞外シグナルを受容している。細胞表面の受容体の細胞外ドメイン(ECD)は相互作用プラットフォームとして、また、受容体活性化の調節モジュールとして機能する。ECD間の相互作用がどのようにシグナル受容可能な受容体複合体を生み出しているかを理解することは、それらが生化学的に取り扱にくいために難しい問題であった。植物では、ECD相互作用の発見は受容体ファミリーの大規模な拡大によって複雑になっており、受容体相互作用が様変わりしてしまう大きな可能性をはらんでいる。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において、これらのファミリーで最大のものは、進化的に関連する225種類のロイシンリッチリピート受容体キナーゼ(LRR-RK)群からなり、これらは微生物の感知や細胞増殖、気孔の形成、幹細胞の維持で機能する。LRR-RKシグナル伝達の活性化を統御する原理は明らかになりつつあるが、このタンパク質ファミリーのシステムレベルの構成は明らかにされていない。今回我々は、この問題に取り組むため、高感度ハイスループット相互作用アッセイを用いて、4万の潜在的なECD相互作用を調べ、567の相互作用からなるLRRに基づいた細胞表面相互作用ネットワーク(CSILRR)を作製した。生物学的に意義のある相互作用の検出に対するCSILRRの有効性を実証するため、我々は植物の生長や免疫において特性が明らかにされていないLRR-RKの機能を予測し検証した。さらに我々は、CSILRRは総合的な調節ネットワークとして動作しており、その全体的な構造に最も重要な複数のLRR-RKが、ネットワーク上で数ステップ離れた受容体の異常なシグナル伝達を防止するために必要であることを明らかにした。このように、植物はLRR-RKネットワークを進化させて、細胞外シグナルをきめ細やかにバランスの取れた応答へと処理してきた。

