環境社会科学:都市までの所要時間を示す世界地図から2015年のアクセシビリティーにおける不平等を評価する
Nature 553, 7688 doi: 10.1038/nature25181
人類の幸福を支える経済的資源および人工的資源は、世界全体に均等に分配されているわけではなく、むしろ都市に著しく集中している。都心部が提供する機会やサービスに対するアクセス(距離、輸送インフラ、および都市の空間的分布の関数で示される)の不十分さが、生活の改善や全体的な発展の大きな障壁となっている。世界的なアクセシビリティーの向上は、国連の持続可能な開発目標が掲げた「誰一人取り残さない(leaving no one behind)」という平等実現のためのアジェンダを支えるものである。このアジェンダの採択によって、アクセシビリティーを正確に評価し、開発政策の設計および実施への情報提供を可能にする指標を作り出すための新たな国際的取り組みが行われている。世界のアクセシビリティーを正確にマッピングするという試みは、10年近く前に報告されたものが唯一で、それは国連の持続可能な開発目標における基準よりも古く、特に低資源環境においては最近のインフラネットワーク拡張が含まれていない。一方で、OpenStreetMapおよびGoogleが提供する新たなデータソースでは、輸送ネットワークがかつてない詳細さと精度で捉えられている。今回我々は、人間の移動速度に影響する要因を特徴付ける全球規模の10の地表データと高密度の都心部1万3840か所のデータを既存の地理空間モデリングの枠組み内で組み合わせることにより、約1 km四方の空間分解能で、2015年の都市までの所要時間を定量化した地図を作製し、その正当性を実証した。その結果、都市から1時間以内の場所に住む人々の割合は、低所得環境(サハラ以南のアフリカに集中)では50.9%だったのに対し、高所得環境では90.7%に上り、富に関連するアクセシビリティーの不平等性が明らかになった。我々は、この地図を社会経済的データセットに照らしてさらにトライアンギュレーションを行うことで、都心部へのアクセスがいかに人類の経済状態、教育状態、および健康状態を階層化させるかを明らかにする。

