Letter
細胞生物学:AMD1 mRNAは分子記憶形成の機構としてリボソーム停止を利用する
Nature 553, 7688 doi: 10.1038/nature25174
メッセンジャーRNA(mRNA)は、タンパク質合成の鋳型として機能することに加えて、この過程を調節する感知性の塩基配列エレメントを含むことが多い。今回我々は、アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ1(AdoMetDC)をコードするヒトAMD1遺伝子について、単一のmRNA分子から合成できる完全なタンパク質分子の数を制限する新しい機構を報告する。AMD1 mRNAを翻訳しているリボソームのごく一部が、この遺伝子の主要コード領域の終止コドンを確率論的に読み過ごす。このような読み過ごしを起こしたリボソームは、その後、読み枠内で次に遭遇する終止コドンの近傍で停止し、最終的にリボソームの行列を形成する。この行列の長さが、同じAMD1 mRNAから合成されたAdoMetDC分子の数に比例する。この2つの終止コドンの間の全スペーサー領域がリボソームの行列で埋まると、この行列はAMD1の主要コード領域の障害となり、その翻訳を停止させる。系統発生学的解析から、この機構は脊椎動物で高度に保存されており、その共通祖先に存在していたと考えられる。我々は、この機構が、単一のmRNA鋳型から合成できるタンパク質分子の数を数えて制限するのに用いられていると提案する。この機構は、転写エラーやmRNA損傷により起こり得る翻訳調節異常に対する安全装置なのかもしれない。

