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幹細胞:生体の造血における細胞系譜運命のクローン解析
Nature 553, 7687 doi: 10.1038/nature25168
造血は血液系や免疫系の成熟細胞を産生する過程であり、機能的に構成された階層性を持ち、自己複製する造血幹細胞や多能性前駆細胞がその頂点に位置する。これらの始原的な造血区画中で最初期に起こる細胞系譜選択や、中間段階の細胞やその結果生じる細胞系譜樹については、複数のモデルが提唱されている。しかし、細胞系譜の帰結を解明するための研究のほとんどは造血細胞移植を介して行われていることを考えると、現在の細胞系譜分岐のモデルは、生体での運命というより、細胞系譜が潜在的に持つロードマップを表している可能性が大きい。今回我々は、トランスポゾンのタギングを用いて、操作を加えない造血における前駆細胞や幹細胞の運命をクローンレベルで追跡した。その結果、巨核球系譜は主に他の造血細胞運命とは独立に生じるという、独特なクローン分化経路のロードマップが得られた。このデータを単一細胞RNA塩基配列解読と組み合わせると、多能性前駆細胞集団中には、単一細胞系譜を生じるクローンと、少数の細胞系譜を生じるクローンからなる機能的な階層性があることが判明した。さらに今回の結果により、従来定義されていた長期造血幹細胞が巨核球限定的な前駆細胞の重要な供給源であることが実証されたことから、巨核球系譜が長期造血幹細胞の生体での主たる運命だと考えられる。この研究は、操作を加えない造血系の分化ロードマップを大幅に書き換える証拠を示しており、多能性前駆細胞と造血幹細胞のin situにおける固有の特性を明らかにしている。

