Letter
保全生物学:世界の水鳥個体群の保全の成功は統治の有効性に依存する
Nature 553, 7687 doi: 10.1038/nature25139
生物多様性保全の研究、政策および実施には、生物多様性の変化の全球的パターンを明らかにすることが極めて重要である。しかし、多くの生態系では、全球レベルで系統的に収集されたデータが不足しているため、生物多様性の変化およびその局地的な駆動要因に関する十分な理解は得られていない。今回我々は、湿地に注目してこの課題に取り組んだ。湿地は、あらゆる環境の中でも特に豊かな生物多様性と高い生産力を有し、重要な生態系サービスを提供しているが、極めて深刻な脅威にさらされている生態系でもある。我々は、湿地の生物多様性の指標タクソンとして鳥類を用い、世界各地の2万5769地点で調査された水鳥461種について、個体数の時系列データをモデル化した。その結果、水鳥の個体数変化および保全活動がもたらす効果の最も有力な予測因子は、国における統治の有効性であることが明らかになった。西アジア、中央アジア、サハラ以南のアフリカ、南米など、統治の有効性が概して低い地域では水鳥の減少が特に顕著であるのに対し、保護区に指定されている湿地環境が広範囲であるほど水鳥の増加は促進されていたが、こうした傾向は統治の有効性が高い国々に限られていた。今回の知見は、社会政治的な不安定性が、生物多様性の喪失を招き、保護区の拡大などといった現在の保全活動の効果を損ないかねないことを明らかにしている。さらに、統治の有効性が低い地域でのデータの不足は、現在の生物多様性の危機の過小評価につながる恐れもある。

