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がん:老化関連の再プログラム化が、がんの幹細胞性を促進する

Nature 553, 7686 doi: 10.1038/nature25167

細胞老化はストレス応答性の細胞周期停止プログラムで、(前)悪性細胞がさらに増殖しないようにしている。また、p16INK4a、p21CIP1、p53など、老化装置の主要なシグナル伝達構成要素に加え、ヒストンH3のリシン9のトリメチル化(H3K9me3)も、幹細胞機能の重要な調節因子として機能する(まとめて「幹細胞性」と呼ばれる)。がん細胞での幹細胞性の獲得は、腫瘍のアグレッシブさや臨床転帰に大きく関わっている可能性がある。今回我々は、化学療法誘発性の老化が、悪性細胞の幹細胞関連特性を変化させるかどうか調べた。Eμ-Mycトランスジェニックマウス由来の老化B細胞リンパ腫と非老化B細胞リンパ腫を遺伝子の発現解析や機能解析によって比較すると、老化B細胞リンパ腫における成体組織幹細胞シグネチャーの発現上昇、活性化Wntシグナル伝達の亢進、特異なマーカーが明らかになった。老化の標的であるH3K9me3あるいはp53を遺伝学的に切り換えできるモデルを用いて、この細胞周期停止状態の自発的な回避を模倣すると、老化から解放された細胞は、細胞周期に再進入し、事実上の同一細胞集団であるが化学療法に同様に曝露されても老化しなかった細胞集団と比較すると、Wnt依存性のコロニー形成性増殖能が強力に増強されていることが分かった。このように老化を経験した細胞は、in vivoで腫瘍イニシエーション能がより上昇していた。重要なことに、急性リンパ芽球性白血病と急性骨髄性白血病のp53調節可能モデルで老化を一時的に強制すると、幹細胞ではない大量の白血病細胞が、自己複製する白血病イニシエーション幹細胞に再プログラム化されることが分かった。我々のデータは、ヒトがん細胞株やヒトの血液学的悪性腫瘍の初代試料において一貫した結果が得られたことでさらに裏付けられ、老化関連の幹細胞性は、意外にも細胞自律的な特徴であり、細胞周期遮断を回避する際に、有害で高度にアグレッシブな増殖能を発揮し、また再発腫瘍で豊富に見られることを明らかにしている。これらの知見は、がん治療に大きく関わっており、がん細胞の可塑性の機構を理解するための新しい手掛かりになる。

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