構造生物学:グルカゴン類似体と複合体を形成したグルカゴン受容体の構造
Nature 553, 7686 doi: 10.1038/nature25153
クラスBのGタンパク質共役受容体(GPCR)は細胞外ドメイン(ECD)と膜貫通ドメイン(TMD)1つずつからなり、セクレチンペプチドに応答してホルモン恒常性に重要な役割を果たしていて、さまざまな疾患で重要な治療標的とされている。以前の研究では、ペプチドリガンドは2ドメイン結合モデル(ペプチドのC末端領域はECDを標的とし、N末端領域はTMDの結合ポケットに結合すると考える)と一致する形で、クラスBのGPCRに結合すると考えられてきた。最近、ペプチドリガンドと複合体を形成したクラスB GPCRの3つの構造が解かれ、これらの構造からクラスBのGPCRによるペプチドリガンド認識に関する重要な知見が得られている。しかし、分解能に制限があることから、クラスBのGPCRにペプチドが結合する際の特異的な分子相互作用はまだはっきり分かっていない。さらに、以前に解かれたこれらの構造では、TMDに対するECDのコンホメーションがさまざまで、ドメイン間コンホメーションの柔軟性と受容体活性化に必要な変化に関して疑問が生じることになった。今回我々は、グルカゴン類似体で部分アゴニストのNNC1702と複合体を形成したヒトの完全長グルカゴン受容体(GCGR)の3.0 Å分解能での結晶構造を報告する。この構造から、GCGRとそのペプチドリガンドとの間の分子的相互作用の詳細が明らかになった。GCGRのECDとTMD間の相対的な配向には、以前に解かれた非活性型のGCGR–NNC0640–mAb1複合体の構造と比べると、ずっと顕著な変化が起こっていることが分かった。特に、ストーク(柄)領域と1番目の細胞外ループは、ペプチド結合の際に二次構造に大規模なコンホメーション変化が起こり、これによってペプチドとの重要な相互作用が形成される。我々はさらに、GCGRの活性化に対する2結合部位誘起モデル(dual-binding-site trigger model)を考案した。これはストーク領域と1番目の細胞外ループおよびTMDのコンホメーション変化を活性化に必要とするもので、クラスBのGPCRについて以前に確立された2ドメインペプチド結合モデルに関する理解をさらに進めるものである。

