生物地球化学:氾濫原の樹木からの大量放出によってアマゾンにおけるメタン収支が完結する
Nature 552, 7684 doi: 10.1038/nature24639
湿地は、強力な温室効果ガスである大気中のメタン(CH4)の地球における最大の供給源である。しかし、熱帯におけるCH4の地理学的な最大の天然源であるアマゾンの氾濫原におけるメタンの放出インベントリーは、リモートセンシングや逆モデルによって決定されたCH4の大気負荷を一貫して過小評価しており、CH4放出量に対するこうした生態系の寄与に関する理解に大きな空白があることを示している。本論文では、中央アマゾン盆地を横断する13地点におけるアマゾンの氾濫原の2357本の樹木の幹から放出されるCH4フラックスについて報告する。湿地の樹木を介した土壌ガスの放出が、その地域におけるCH4の主な放出源であることが見いだされた。アマゾンの樹木の幹から放出されるCH4のフラックスは、温帯の多雨林や熱帯の泥炭湿地林について報告されている放出量よりも最大で200倍多く、観測されている湿地からの非噴出型のフラックスでは最大である。樹木から放出される炭素安定同位体値(δ13C)は、平均で−66.2 ± 6.4 ‰であり、土壌の生物起源のものと一致する。氾濫原の樹木は、CH4を年間15.1 ± 1.8~21.2 ± 2.5テラグラム放出しており、この地域では他に、別の供給源から年間20.5 ± 5.3テラグラムのCH4が放出されていると見積もられた。さらに、2010~2013年の期間における対流圏下部の標準的なCH4の鉛直分布に基づいて、「トップダウン」による見積もりから、アマゾン盆地における地域的なCH4の放出量が、年間42.7 ± 5.6テラグラムと算出された。我々は、「トップダウン」による見積もりと、複数の「ボトムアップ」による見積もりの合計はよく一致していることを見いだした。これは、永続的な洪水や季節的な洪水に適応した樹木からのCH4の大量放出が、アマゾンのCH4収支を完結させるのに必要な放出源となり得ることを示唆している。今回の知見から、樹木と他の放出源を組み合わせれば、全球の湿地のCH4源の最大3分の1を占めるアマゾンの氾濫原における湿地の全CH4放出量の約半分をもたらすのに、樹木の幹の表面が重要であることが立証された。

