神経科学:シナプトタグミン7は特殊な減衰シナプスへ頻度不変性を付与する
Nature 551, 7681 doi: 10.1038/nature24474
脳内のほとんどのシナプスでは、短期可塑性がシナプス強度を動的に調節している。シナプス強度の頻度依存的な高速変化は、感覚順応や利得制御などの多くの神経演算で主要な役割を担っている。しかし、聴覚、前庭および小脳のシナプスの中には、幅広い発火頻度に対して一定の強度を維持するものがあり、その結果として、発火頻度を効率的に符号化している。これは一見すると単純なようだが、シナプス固有の非線形性のため、頻度が不変の伝達を実現するのは難しい。本研究で我々は、マウスのプルキンエ細胞から深部小脳核へのシナプスと、前庭シナプスでの頻度不変伝達を調べた。これらのシナプスの長期活性化は最初に減衰を引き起こすが、その後、生理活性範囲で頻度不変な定常状態応答となる。我々は、短期促通のカルシウムセンサーであるシナプトタグミン7(Syt7)が、両シナプスに存在することを見いだした。促通センサーが、これらや他の減衰シナプスに存在する理由は不明だった。プルキンエ細胞や前庭のシナプスでは、Syt7は、通常は減衰により隠されている促通を支えていることが分かった。これは野生型マウスで顕著に見られるが、Syt7ノックアウトマウスでは見られない。野生型マウスでは、促通は発火頻度とともに増加し、減衰に対抗して頻度不変伝達を生み出す。Syt7ノックアウトマウスのプルキンエ細胞や前庭のシナプスは、従来通りの使用頻度依存的な減衰を示し、発火頻度の増加に伴い非常に弱くなる。Syt7の発現をシナプス前で救済すると、促通と頻度不変伝達がいずれも回復した。我々の結果は、全体的な減衰を示すシナプスにおけるSyt7の機能を明らかにし、促通が頻度不変伝達を生み出す上で、予想外の重要な機能を持つことを示している。

