天文学:ペルセウス座銀河団の鉄ピーク元素は太陽と同じ存在比
Nature 551, 7681 doi: 10.1038/nature24301
銀河団に広がる高温プラズマの元素組成は、何十億個もの超新星によって生成された重元素の蓄積である。従って、銀河団ガスのX線分光によって、宇宙論的な時間にわたって積分された超新星爆発の特性を研究する機会が得られる。特に、鉄ピーク元素(クロム、マンガン、鉄、ニッケル)の存在量は、典型的なIa型超新星の親星がどのように進化し、爆発するかを理解するために重要である。銀河団ガスに関する最近のX線研究では、これらの元素の存在比が太陽に見られるものと大きく異なることが明らかにされており、銀河団と天の川銀河との間でIa型超新星の性質に違いがあることが示唆された。しかし、クロムとマンガンのK殻遷移輝線は弱く、また鉄とニッケルのK殻遷移輝線は非常に近い光子エネルギーを持つことから、これらの元素の存在量を正確に決定するには高分解能の分光観測が必要である。本論文では、ペルセウス座銀河団の観測において、クロム、マンガン、ニッケルからの共鳴放射を統計的に有意に検出したことを報告する。最新の原子モデルと関連付けた我々の計測によって、これまでの主張とは対照的に、これらの元素の鉄に対する存在比が太陽のものに近いことが明らかになった。今回の結果と最新の超新星元素合成の計算との比較では、Ia型超新星の親星が、もっぱらチャンドラセカール限界(太陽質量の約1.4倍)をはるかに下回る質量の白色矮星であるという仮説は支持されない。観測された鉄ピーク元素の存在比のパターンは、チャンドラセカール質量限界付近およびそれより軽いIa型超新星系の組み合わせを考慮することで説明でき、これら2種類の親星が宇宙の化学組成に大きく寄与することを示す、多くの証拠がもう1つ増えることになった。

