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言語変化における進化の駆動力を検出する

Nature 551, 7679 |  Published: |  doi: 10.1038/nature24455


言語と遺伝子は共に、形式の複製で差異を生じる機会を有する世代間伝達によって進化する。自然選択がなくても遺伝的浮動によって遺伝子頻度がランダムに変化するという知識を得たことは、進化生物学の重大な進歩であった。言語においても、話者間での言語形式の複製のされ方におけるランダム性の結果として、確率論的な浮動が起こるはずである。今回我々は、言語の進化において、確率論的浮動に対する選択の強度を定量化した。12~21世紀の注釈付けされたテキストの複数の大規模コーパスから抽出した時系列データを用いて、よく知られている英語の3つの文法変化を解析した。つまり、過去形動詞の規則化、迂言的な「do」の導入、そして動詞否定の変化である。我々は、一部の事例では確率論的浮動が棄却され選択が有利に働いていたが、そうではない事例もあったことを示す。具体的には、一部の過去形動詞では選択が不規則形に向かって働くことが示唆され、これは押韻パターンの頻度が時間とともに変化することによって駆動されると考えられる。確率論的浮動は希少な単語で強く働くことが分かり、これは希少な形式が一般的なものよりも代用されやすいことの説明となる可能性がある。本研究は、言語変化の選択理論を帰無モデルと比較して検証する方法を提供するとともに、言語進化においてこれまで正しく評価されていなかった確率論の役割を明らかにしている。

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