Letter

大気化学:氷核生成における積層不整の役割

Nature 551, 7679 doi: 10.1038/nature24279

水の凝固は、地球の気候を決定付ける過程に影響を及ぼす。従って、気象や気候の正確な予報は、氷核生成速度の確実な予測に懸かっている。氷核生成速度の予測は、古典的核生成理論を用いた外挿に基づいており、この理論では、ナノメートルサイズの氷微結晶の構造がバルク氷の熱力学的安定形である六方晶氷構造に一致すると仮定している。しかし、さまざまな水モデルのシミュレーションからは、大気温度の下で核生成し成長した氷には、全てのサイズにおいて積層不整があり、立方晶氷の層と六方晶氷の層がランダムに配列していることが見いだされている。これは、積層不整がある氷の微結晶は、六方晶氷の微結晶より安定であるか、非平衡動力学効果によって形成されるかのどちらかであることを示唆している。いずれのシナリオも、古典的核生成理論の中心となる考えに異を唱えるものである。今回我々は、mW水モデルを用いてレアイベントサンプリングと自由エネルギー計算を行い、少なくとも10万の分子までのサイズの微結晶については、立方晶層と六方晶層の混合エントロピーによって積層不整がある氷が安定相になることを示す。積層不整がある臨界微結晶は、230 Kで六方晶微結晶よりも微結晶1モル当たり約14 kJ安定であり、そのため氷核生成速度が古典的核生成理論から予想されるより3桁速くなることが見いだされた。この核生成速度への影響は温度に依存し、最も温暖な条件で最も顕著になり、氷核生成速度の温度依存性に非常に敏感な雲形成や氷粒子数のモデリングに影響を及ぼすはずである。我々は、実験室での実験条件から得た氷核生成速度を解釈し、その速度を雲内で生じる温度まで外挿する際には、古典的核生成理論を修正して氷微結晶のサイズに対する結晶化駆動力の依存性を含める必要があると結論する。

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