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ナノスケールデバイス:慣性ピコ天秤によって明らかになった哺乳類細胞の高速質量変動

Nature 550, 7677 doi: 10.1038/nature24288

生細胞におけるサイズ、体積、質量の調節は生理学的に重要であり、これらのパラメーターの調節異常は多くの疾患を引き起こす。細胞の質量は主に、細胞中に存在する水、タンパク質、脂質、糖質、核酸の量によって決まり、代謝、増殖、遺伝子発現と密接に結び付いている。近年、単一の浮遊細胞や接着細胞の質量追跡を可能にする技術が生まれている。しかし、生理学的条件下の個々の接着細胞を、高速細胞ダイナミクスの観測に必要な質量分解能と時間分解能で追跡することはできなかった。今回我々は、光励起マイクロ共振器を利用した細胞天秤(「ピコ天秤」)について報告する。この天秤は、培養条件下において単一もしくは複数の接着細胞の総質量を、ミリ秒の時間分解能とピコグラムの質量感度で数日間にわたって測定するものである。我々は、この手法を用いて、生きた哺乳類細胞の質量が細胞周期全体を通して数秒の時間スケールにわたって本質的に1~4%程度変動していることを観測した。摂動実験によって、この質量変動がATP合成と水輸送という基本的な細胞過程と関連付けられた。さらに、ワクシニアウイルスに感染させた細胞は、成長と細胞周期の進行が止まるが、質量変動は細胞死まで続くことが分かった。今回の測定結果は、全ての生細胞が細胞周期全体を通してわずかな高速質量変動を示すことを示唆している。この細胞天秤は取り扱いが容易で蛍光顕微鏡法と併用できるので、今回の手法が、生理学、がん研究、幹細胞分化、創薬などの分野で重要なさまざまな細胞状態と時間スケールにおける細胞質量調節を理解するのに役立つと、我々は予想する。

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