材料科学:衝撃波によって駆動される双晶形成と格子ダイナミクスのin situ X線回折測定
Nature 550, 7677 doi: 10.1038/nature24061
固体材料中の圧力に駆動される衝撃波は、極度の損傷や変形を引き起こす場合がある。こうした変形やそれに伴って材料中に形成される欠陥を理解することは、惑星形成や小惑星の衝突場所、星間塵雲の形成、弾道貫通体、宇宙船の保護、高性能セラミックスの延性など、さまざまな現象の研究において極めて重要である。格子レベルでは、塑性変形の基本機構は、鏡像格子構造の結晶子が形成される双晶形成と、格子転位を生成し移動させるすべりであるが、変形中にどちらの機構が働いているのか見極めることは困難である。格子欠陥の特性を評価した実験では、変形後の試料の微細構造を調べることが多いため、衝撃後のアニーリングや残存影響によって複雑になる。加えて、測定は比較的低い圧力(100 GPa未満)に限定されていた。in situ X線回折実験は、材料の動的挙動に関する知見をもたらす可能性があるが、衝撃圧縮時の塑性の研究に適用されたのはつい最近であり、競合する変形機構に関する詳細な知見はまだ得られていない。今回我々は、衝撃波駆動変形を引き起こす微細構造過程に関する格子レベルのin situ情報が得られるフェムト秒分解能のX線回折実験について報告する。この方法を実証するために、体心立方材料であるタンタルを衝撃圧縮した。タンタルは、衝撃インピーダンスとX線不透過度が高いため、高エネルギー密度物理学にとって重要な材料である。また、タンタルは、過去の衝撃圧縮シミュレーションと実験において、支配的な変形機構に関して相反する情報が得られている材料でもある。今回の実験では、双晶形成と、これに関連して数十ピコ秒の時間スケールで起こる格子回転が明らかになった。加えて、双晶形成と強い衝撃の間に一般的な関連性があるにもかかわらず、150 GPaを超える高い圧力において双晶形成から転位すべりが支配的な塑性へと移行することも見いだされた。これは、回復実験では正確に調べることができない領域である。今回実証した手法は、衝撃波などの高ひずみ速度現象や、塑性によって生じるさまざまな過程の研究に役立つであろう。

