細胞生物学:赤血球と血小板におけるスフィンゴシン1-リン酸の細胞外輸送にはMfsd2bが必須である
Nature 550, 7677 doi: 10.1038/nature24053
スフィンゴシン1-リン酸(S1P)は赤血球や血小板から分泌される脂質で、強力なシグナル伝達分子として生物学的に重要な数多くの役割を果たしている。しかし、その排出輸送体は、長らく探し求められているものの、まだ見つかっていない。今回我々は、オーファン輸送体Mfsd2b(major facilitator superfamily transporter 2b)が、赤血球と血小板からのS1Pの排出に必須であることを明らかにする。統合リピドミクス解析により、Mfsd2bをノックアウトした赤血球と血小板では、野生型の対照群に比べてさまざまなS1P種が劇的かつ特異的に蓄積することが分かった。その結果と一致して、Mfsd2bをノックアウトした赤血球や血小板、およびMfsd2bタンパク質を過剰発現するヒトやマウスの細胞系列での生化学アッセイにより、Mfsd2bがS1Pを細胞外に能動輸送することが実証された。ノックアウトマウスの血漿S1Pレベルが野生型に比べて著しく(42~54%)減少することから、Mfsd2b経路が血漿中のS1Pプールのおよそ半分を輸送していると示唆される。ノックアウトマウスの血漿S1Pの減少だけでは血管漏出を引き起こすには不十分だが、このマウスはアナフィラキシーショックに対する感受性が高くなった。ストレス誘導性の赤血球形成は血漿S1Pレベルを顕著に上昇させ、ノックアウトマウスは、これらの処置に感受性を示す。驚くことに、ノックアウトマウスでは有口赤血球と関連した溶血が起こり、ストレス性赤血球形成では、この溶血性表現型が膜の脆弱性の兆候とともに大幅に増加した。赤血球の細胞の形態には、Mfsd2bによるS1Pの分泌が非常に重要であることが明らかになった。これらのデータは、赤血球が血中のスフィンゴ脂質代謝に予想外の生理学的役割を担っていることを示している。今回の知見によって、赤血球や血小板由来のS1Pがシグナル伝達に果たす役割の研究に、新たな道が開けるだろう。

