物性物理学:銅酸化物超伝導体の回転対称性の自発的破れ
Nature 547, 7664 doi: 10.1038/nature23290
銅酸化物における高温超伝導の起源と臨界温度以上での「常伝導」状態の性質は、広く議論されている。アンダードープ銅酸化物では、この常伝導状態に擬ギャップなどの異常な特徴があり、オーバードープ銅酸化物では、バーディーン・クーパー・シュリーファーの標準的な説明は成立せず、常伝導状態が単純なフェルミ液体であるという考えに疑問が投げ掛けられている。我々は、こうした疑問を調べるため、電流を流したLa2−xSrxCuO4単結晶薄膜のふるまいを調べた。本論文では、電流に対して横方向の(直交する)電圧が、試料全体に自発的に生じることを報告する。プローブ電流、温度、面内デバイス配向、ドーピングに対するこの電圧の依存性は、このふるまいが固有かつ実質的かつロバストであり、広い温度範囲とドーピング範囲に存在することを示している。電流の方向を面内で角度φ回転すると、横方向電圧がsin(2φ)で振動し、結晶の4回回転対称性が破れる。振動の振幅には、超伝導の臨界温度付近に強いピークがあり、ドーピングの増加に伴って減少する。我々は、こうした現象が、電子輸送における予期せぬ面内異方性によって生じていることを見いだした。この薄膜は非常に薄く、正方晶になる(つまり、4回対称性を持つ)ようエピタキシャルに制約されているので、全てのφで抵抗率が一定で横方向電圧がゼロになると予想される。この異方性の起源は、純粋に電子的、いわゆる電子ネマチック性と呼ばれるものである。独特なことに、かなりの斜方晶ひずみが課されない限り、ネマチックダイレクターは結晶軸方向に配列しない。この異方性が高温超伝導を示す物質で生じるという事実は、偶然ではないかもしれない。

