環境科学:森林の世界的喪失による生物多様性の喪失は、手付かずの景観では不釣り合いなほど大きい
Nature 547, 7664 doi: 10.1038/nature23285
生物多様性の世界的な喪失は重大な環境危機だが、生物多様性への脅威に関する空間的データは存在せず、そのことが保全戦略の障害となっている。理論からは、生物多様性の急激な低下が最も起こりやすいのは、景観における生息地の利用可能性が極めて低いレベル(10~30%)まで低下した場合であると予測されている。一方、最近の証拠からは、手付かずの景観および比較的分断化されていない景観への人間の侵入を最小限にとどめることで、生物多様性が最もよく保全されることが示されている。今回我々は、最近利用可能となった森林喪失のデータを用い、世界の脊椎動物1万9432種について、森林破壊が国際自然保護連合(IUCN)の「絶滅のおそれのある生物種のレッドリスト」のカテゴリーに対して及ぼす影響を検証した。その結果、予想どおり、生物種が絶滅危惧種に分類される確率、上位ランクへと最近移行した確率、および個体群の減少を示す確率は、森林破壊によって大幅に上昇した。さらに重要なことに、これらの脅威は比較的手付かずの景観では不釣り合いなほどに高く、最小限の森林破壊であっても脊椎動物の生物多様性に対して深刻な影響を及ぼしていた。森林喪失はすでに分断化された景観で最も悪影響が大きい、という別の仮説を裏付ける証拠はほとんど認められなかった。空間解析からは、ボルネオ島、アマゾン中央部およびコンゴ盆地において、高リスクなホットスポットが明らかになった。我々のモデルは、これらの3地域では、森林喪失が現在の速度を保ったまま今後30年間進行した場合、121~219種の生物が絶滅危惧種になると予測している。これらの高リスク地域のうち、公式に保護対象となっている地域は17.9%にすぎず、厳重に保護されている地域はわずか8.9%であることを踏まえると、森林破壊の速度を遅くし、世界規模の絶滅の波が新たに生じるのを回避するには、手付かずの森林を保護するための新たな大規模保全努力が必要になると考えられる。

