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生化学:セキュリンによる酵母セパラーゼ調節の分子機構

Nature 542, 7640 doi: 10.1038/nature21061

セパラーゼは、染色体分離の際に起こる姉妹染色分体解離に極めて重要な役割を持つシステインプロテアーゼである。セパラーゼはヒト腫瘍で過剰発現していて、そのため創薬の標的候補となっている。セパラーゼのプロテアーゼ活性は阻害因子セキュリンにより厳密に調節されていて、セキュリンはセパラーゼと密に結合して複合体を形成し、またこの酵素の安定化にも関わっている可能性がある。セパラーゼは140~250キロダルトンの大型の酵素で、アミノ末端にはαヘリックス領域、カルボキシ末端にはカスパーゼ様触媒ドメインを持つ。セパラーゼのC末端の2つのドメインの結晶構造と、セパラーゼ–セキュリン複合体の低分解能電子顕微鏡再構成は報告されているが、完全長セパラーゼの原子レベルの構造、特にセキュリンとの複合体の原子構造は知られていない。今回我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のセパラーゼ–セキュリン複合体の、最高2.6 Å分解能での結晶構造を報告する。セパラーゼのαヘリックス領域(別名Esp1)はI~IV の4つのドメインを含み、基質結合ドメインは触媒ドメインの直前にあって、触媒ドメインと密に結合している。セパラーゼ–セキュリン複合体は非常に長く伸びた構造をとっている。セキュリンの258~373番目の残基(Pds1)はセパラーゼ相互作用セグメントと名付けられていて、おおむね伸びたコンホメーションをとっていて、セパラーゼの全体を縦走する形をとり、セパラーゼの全てのドメインと相互作用している。最も重要なのは、セキュリンの258~269番目の残基がセパラーゼの活性部位中に位置していることで、これから阻害機構は明らかである。生化学的研究により構造観察の結果が確認され、またセパラーゼ活性部位の外部でのセキュリンとの接触が複合体の安定化に極めて重要であることが示され、セパラーゼのヘリックス領域が重要な機能を持つことが明確になった。

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