分子生物学:Argonauteのリン酸化サイクルの1つがマイクロRNAを介したサイレンシングを促進する
Nature 542, 7640 doi: 10.1038/nature21025
マイクロRNA(miRNA)は正常の生理的状態や疾患において、Argonauteタンパク質と結合し、部分的に相補的なメッセンジャーRNA(mRNA)の発現を低下させることで、重要な機能を発揮する。今回我々は、CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)–Cas9(CRISPR-associated protein 9)によるゲノム規模の機能喪失スクリーニングと、ヒト細胞におけるmiRNA活性の蛍光レポーターを組み合わせて用い、miRNA経路の新たな制御因子を探索した。スクリーニングを反復して行うことで、Argonaute 2(AGO2)が標的へ結合すると、その高度に保存された一群の残基(S824–S834)において、CSNK1A1による階層的で多部位のリン酸化が起こり、続いてANKRD52–PPP6Cホスファターゼ複合体による急速な脱リン酸化が起こるという、新たな機構を明らかにした。遺伝学的研究と生化学的研究により、AGO2のこれらの残基のリン酸化が標的mRNAの結合を抑制することが明らかになったが、このリン酸化サイクルを不活性化すると、miRNA介在サイレンシングが広範囲に障害された。リン酸化されないAGO2を用いたトランスクリプトーム規模の結合プロファイル解析では、定常状態で結合する標的レパートリーが著しく拡大し、1標的当たりではAGO2の活性化プールが実質的には減少することが明らかとなった。以上の結果は、標的の結合により活性化されるAGO2リン酸化サイクルが、miRNA:標的相互作用を制御して、miRNA介在サイレンシングの全体的な効率を維持しているというモデルを支持するものである。

