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ウイルス学:ウイルス間コミュニケーションが溶菌–溶原化の決定を誘導する

Nature 541, 7638 doi: 10.1038/nature21049

溶原性ウイルスは宿主細胞内で休眠状態になることができる。この過程は溶原化と呼ばれ、こうしたウイルスは、増殖して宿主を溶解させる溶菌サイクルと、溶原化して宿主と共存する溶原サイクルのいずれに入るかを、感染のたびに決定している。今回我々は、SPβ群のウイルス(ファージ)が、低分子コミュニケーション系を用いて溶菌–溶原化の決定を調整していることを示す。このファージは、宿主であるバチルス属(Bacillus)細菌の細胞への感染の際、6つのアミノ酸からなるコミュニケーションペプチドを産生して、培地中に放出する。その後の感染では、子孫ファージはこのペプチドの濃度を測定して、濃度が十分高ければ溶原化する。異なるファージは、異なる種類のコミュニケーションペプチドをコードしていることが分かり、溶原化決定のためのファージ特異的なペプチドコミュニケーションのコードが存在することが示された。我々はこのコミュニケーション系を「arbitrium」系と命名し、さらにこの系が、ペプチドを産生するaimP、細胞内のペプチド受容体aimR、および溶原化の負の調節因子aimXという3つのファージ遺伝子にコードされていることを明らかにする。このarbitrium系は、子孫ファージの祖先ファージとの「情報伝達」を可能にするものであり、子孫ファージは直近の感染量を推定して、溶菌サイクルと溶原サイクルのいずれに入るかを決定している。

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