惑星科学:地球集積物質の経時的な同位体的性質
Nature 541, 7638 doi: 10.1038/nature20830
地球は、さまざまな日心距離に由来する、月から火星サイズの惑星の胚子の集積によって形成された。こうした天体の同位体的な性質は分かっていない。しかし、隕石を参考にして、モデルの大半は、同位体組成が異なるさまざまな惑星の胚子が集まって地球が形成されたと仮定している。一方で高精度測定からは、地球、月、およびエンスタタイト隕石の同位体組成はほとんど区別がつかないことが示されている。地球と月の類似性と推測された地球形成物質の不均一な性質を共にうまく説明するモデルがいくつか提案されているが、これらのモデルは、月形成衝突に対して特定の幾何学的配置を必要とするか、地球と月の類似性の一部(つまり、17O)しか説明できない。本論文では、金属に対する親和性が異なる元素を使って、地球集積物質の同位体的性質を経時的に解明できることを示す。親石元素O、Ca、Ti、Nd、中程度の親鉄元素Cr、Ni、Mo、強親鉄元素Ruといったマントルを特徴付ける元素が、地球の集積過程のさまざまな段階を記録していることが見いだされたが、これらの元素全ては、エンスタタイト隕石と同位体的に非常によく似た物質を示している。この同位体的な類似性は、地球に集積した物質の多くが常にエンスタタイト型の衝突天体であった(集積の初期から60%ぐらいまでは約半分がE型で、その後の衝突天体は全てがE型である)ことを示唆している。従って、月を形成した巨大衝突天体の同位体組成はおそらく地球と似ていたと考えられ、これによって月形成モデルに対する制約が緩和される。エンスタタイト隕石と地球は同じ同位体リザーバーから形成されたが、その後の星雲過程や惑星過程によって分化が生じ、化学進化において異なる道を歩んだ。

