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幹細胞:HippoキナーゼLATS1とLATS2は ERαとのクロストークを介してヒト乳腺細胞の運命を制御する

Nature 541, 7638 doi: 10.1038/nature20829

細胞運命の擾乱は、乳がんを含め多くのヒト疾患の基盤となる。残念ながら、乳腺細胞の運命を制御する機構はほとんど分かっていない。乳腺上皮は、分化管腔上皮細胞、基底筋上皮細胞と共に、未分化幹細胞およびより限定された前駆細胞から構成される。乳がんはこの上皮から生じるが、乳腺上皮の階層構造の基盤となる分子機構は十分明らかになっていない。今回我々は、共焦点画像化法を基盤とした低分子ヘアピン型RNAを用いたハイコンテントスクリーニングにより、初代ヒト乳腺上皮細胞で乳腺細胞の運命を制御する腫瘍抑制因子を明らかにする。我々は、Hippo経路の構成因子であるLATS(large tumour suppressor kinase)1および2の除去が管腔表現型の出現を促進し、ほとんどのヒト乳がんの細胞起源とされる二分化能を持つ前駆細胞および管腔前駆細胞の数を増やすことを示す。機構として、Hippoとエストロゲン受容体α(ERα)シグナル伝達の直接的相互作用が確認された。LATS存在下では、ERαはユビキチン化とDCAF1(Ddb1–cullin4-associated-factor 1)依存性プロテアソーム分解の標的であった。LATSを欠損すると、ERαと、協同して内因性およびパラクリン機構を介した乳腺細胞の運命制御を行うHippoエフェクターのYAPとTAZ(YAP/TAZ)が安定化された。我々の結果から、ヒト乳腺細胞の運命の調節におけるLATSの非カノニカル(すなわちYAP/TAZ非依存的)な効果が明らかとなった。

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