Letter

分子生物学:終止コドンを欠いたmRNA上でArfA–RF2が仲介する翻訳終結の構造基盤

Nature 541, 7638 doi: 10.1038/nature20821

細菌では、終止コドンを欠く短縮された形のmRNA上で立ち往生したリボソームは、tmRNA(transfer-messenger RNA)とArfA(alternative rescue factor A)あるいはArfBの系により救済される。tmRNA–リボソームとArfB–リボソームの構造は決定されているが、ArfAが短縮型mRNAの存在を認識し、カノニカルな終結因子であるRF2を動員して立ち往生したリボソームを救済する仕組みは明らかになっていない。今回我々は、ArfAとRF2の存在下で短縮型mRNA上で停止している大腸菌(Escherichia coli)70Sリボソームの低温電子顕微鏡再構成像を示す。その構造から、ArfAのC末端がリボソーム小サブユニットにあるmRNA進入チャネル内に結合していることが明らかになった。これによって、ArfAが短縮型mRNAあるいは完全長mRNAを結合しているリボソームを区別する仕組みが説明される。ArfAのN末端は、RF2の解読関連ドメインと複数の相互作用を確立していて、この知見はArfAが立ち往生したリボソームの所へRF2を誘導する仕組みを明らかにしている。さらに、ArfAはRF2のスイッチループの独特なコンホメーションを安定化していることも分かった。このコンホメーションは、RF2のドメイン3中の触媒的に重要なGGQモチーフをリボソームのペプチジルトランスフェラーゼ中心へと導くことで、カノニカルな翻訳終結状態を模倣している。従って、我々の構造はArfAがRF2をリボソームに誘導する仕組みだけでなく、誘導されたRF2が活性なコンホメーションをとりやすくなり、それによって終止コドンが存在しなくても翻訳終結が可能となるという仕組みも明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度