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微生物学:ヒト腸内微生物相を構成する主要な菌による栄養獲得の構造基盤

Nature 541, 7637 doi: 10.1038/nature20828

ヒト大腸には微生物が高密度で生息している。これらは大腸内微生物相と総称され、ヒトの健康や栄養に重要な役割を担っている。微生物相中で優勢なグラム陰性バクテロイデス門に属する菌の生存は、宿主が代謝できない食餌由来グリカンを分解する能力にかかっている。特定のグリカンの分解に関与するタンパク質をコードする遺伝子は、共調節される多糖類利用座位に配置されていて、この中で典型的な座位はsus(starch utilization system)であり、これはSusAからSusGまでの7つのタンパク質をコードする。グリカン分解は主に細胞内で起こり、細胞外SusD様リポタンパク質と膜に内在するSusC様TonB依存性輸送体からなる外膜タンパク質複合体によるオリゴ糖の取り込みに依存している。SusC様タンパク質の主な特徴はパートナーであるSusD様リポタンパク質が存在することで、この点で以前に特性が調べられたTonB依存性輸送体と区別される。塩基配列が解読されている多くの腸内バクテロイデス属細菌は、100以上のSusCD対をコードしており、その大半は機能や基質特異性が分かっていない。細胞外基質のSusDタンパク質による結合と、同族であるSusC輸送体によるその外膜通過を共役させる機構は知られていない。今回我々は、Bacteroides thetaiotaomicronから精製した、機能的に異なる2つのSusCD複合体のX線結晶構造を明らかにし、基質輸送の一般的なモデルを導いた。SusC輸送体はホモ二量体を形成していて、おのおののβバレルプロトマーはSusDによりしっかり蓋がされた形になっている。リガンドは、SusC–SusD界面にある、溶媒が存在しない大きなキャビティに結合している。分子動力学シミュレーションと単一チャネルの電気生理学的測定により、リガンドが存在しない場合には、SusDが蝶番のような動きによりSusCから離れて、基質結合部位を細胞外環境に露出させるという、「蓋付きゴミ箱」のような機構が明らかになった。これらのデータから、微生物相を構成する菌による外膜を通過する栄養取り込み機構に関する手掛かりが得られる。こうした取り込みは、ヒトと微生物相の共生を理解するための非常に重要な領域である。

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