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生態学:マルチスケールの規則的な植生パターンに関する理論的基盤

Nature 541, 7637 doi: 10.1038/nature20801

自己組織化された規則的な植生パターンは広範に見られ、生産力やロバスト性といった生態系機能を仲介すると考えられているが、その起源および維持の根底にある機構に関してはいまだ議論が続いている。特に物議を醸しているのは、北米のマイマ・マウンド、ブラジルのmurundus、南アフリカのheuweltjies、そして有名なナミビアのフェアリーサークルなどの、過剰分散した(等間隔の)要素からなる景観である。これに関しては現在、競合する2つの仮説が存在する。1つは、植物が離れた個体とは競争しながら近隣個体は支援するというスケール依存的なフィードバックのモデルで、衛星画像に認められるさまざまな規則的パターンを再現することができる。スケール依存的なフィードバックは、理論的な根源が深くて明らかに一般的であることから、実験的証拠が乏しいにもかかわらず、規則的なパターン形成を統一するほぼ普遍的な原理であると広く考えられている。一方、世界各地に見られる過剰分散型の植生パターンの多くは、シロアリやアリ、齧歯類といった地下の生態系技術者と関連付けられている。この解釈は、縄張り争いと一致する可能性があるものの、理論的および実験的に反証されており、スケール依存的なフィードバックとは異なり統一的な動的理論を欠くために、その妥当性および一般性に対して懐疑的な見方が強まっている。今回我々は、社会性昆虫コロニーの自己組織化に関する一般的な理論的基盤を示す。この理論的基盤は、4大陸に由来するデータを用いて立証されたもので、縄張りを持つ動物の種内競争がこうした植生パターンに見られる大規模な六角形の規則性を生み出し得ることを実証している。ただし、この機構はスケール依存的なフィードバックと相互排他的なものではない。我々は、事例研究としてナミブ砂漠のフェアリーサークルを用い、こうした景観がマルチスケールのパターン形成を示すことを表す実地データを提示する。マルチスケールのパターン形成は、この系ではこれまで報告例がなく、いずれか一方の機構のみでは説明がつかない。むしろ、こうしたマルチスケールのパターン、および乾燥に対する耐性の増大や乾燥からの回復力の増大などの新たに加わった特性は、2つの機構を組み合わせる我々の理論的枠組みにおける動的な相互作用から生じる。動物によって誘導される植生の規則性は、他のパターン形成過程においても機能的に重要な変化をもたらす可能性があり、その影響の範囲は全球に及び得ることから、生態学的な自己組織化に関する複数の機構を統合する必要性を強調するものである。

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