Letter
生物地球化学:全球的なリン循環の変化
Nature 541, 7637 doi: 10.1038/nature20772
主要栄養素であるリンは、海洋の一次生産力を地質学的な時間スケールで制限していると考えられている。過去35億年間にわたるリン循環のダイナミクスを再構築する努力が持続的になされてきたが、リン制限が地球の歴史を通して持続してきたのかどうかまだよく分かっていないため、リン循環が生物圏の生産力と海洋や大気の酸素濃度を長期間にわたって一貫して調節してきたのかどうかも分かっていない。今回我々は、過去35億年間にわたる海底の堆積岩中のリンの存在量を集めたデータベースを提示する。我々は、相対的に少量の自生のリンが約8~7億年前まで浅海環境に埋没していたことを示す証拠を見いだした。我々はこのデータベースの解釈から、この時期以前の縁海での限られた量のリンの埋没がリンの生物制限と関連しており、その結果一次生産者の元素の化学量論がレッドフィールド比(植物プランクトンに見られる炭素、窒素、リンの原子比率)から大きく離れたと提案する。我々は、今回のリンの記録を定量的な生物地球化学モデルの枠組みに組み入れ、鉄が豊富な無酸素海洋におけるリン除去の増強と、栄養塩に基づく大気中の酸素濃度の双安定性の組み合わせによって、安定した低酸素世界が生じた可能性があることを見いだした。こうした要因の組み合わせによって、地球史の過去35億年間にわたって地球表面の酸化が長引いたことを説明できる可能性がある。しかし、今回の解析結果は、以前に推測された海洋の酸化還元状態の変化、地球の気候システムに対する激しい攪乱、動物の出現と同時期である後期原生代(8億~6億3500万年前)にリン循環に根本的な変化が生じた可能性があることも示唆している。

