宇宙物理学:ペルセウス座銀河団のコア内の静穏な銀河団ガス
Nature 535, 7610 doi: 10.1038/nature18627
銀河団は、重力的に束縛された宇宙で最大質量の天体であり、現在も形成途中にある。そのため、銀河団は宇宙論的なパラメーターや多くの宇宙物理学的な過程の重要な探査手段である。しかし、銀河団に含まれる全ての星を合わせた質量をはるかに超えた質量を持つ、銀河団全体に広がる高温ガスのダイナミクスについての知識は不十分である。そうした知識からは、中心部の超大質量ブラックホールによる力学的なエネルギーの注入や、銀河団の質量を決定するための静水圧平衡の適用性について手掛かりを得られる可能性がある。ペルセウス座銀河団のコアからのX線は、その重力ポテンシャルの井戸を満たす、5000万Kの広がった高温プラズマによって放射されている。中心の銀河NGC 1275の活動銀河核は、ジェットによりエネルギーを周囲の銀河団ガスへと注入し、相対論的プラズマで満たされた浮力を持ったバブルを形成している。こうしたバブルは、銀河団ガス中に運動を引き起こし、中心部のガスを加熱し、放射冷却の暴走を抑えていると考えられる。これは、活動銀河核のフィードバックとして知られている過程である。本論文では、ペルセウス座銀河団のコアのX線観測について報告し、中心核から30~60キロパーセクの領域内のガスの視線方向の速度分散が毎秒164 ± 10 kmという非常に静穏な大気であることを明らかにする。毎秒150 ± 70 kmの視線方向の速度勾配が銀河団コアの差し渡し60キロパーセクの画像範囲にわたって発見された。ガス内の乱流圧力は熱力学的圧力の4%であり、大規模な速度差を考えてもこの推測値が最大で2倍になるだけである。我々は、中心領域で静水圧平衡にあるとして決定された銀河団全体の質量は、乱流による圧力の補正をほとんど必要としないと推測する。

