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幹細胞:Musashi-2はAHRシグナル伝達を減弱させてヒト造血幹細胞を増殖させる
Nature 532, 7600 doi: 10.1038/nature17665
臍帯血由来の造血幹細胞(HSC)は多くの救命再生治療に不可欠である。しかし、臍帯血中のHSCは、移植に利用できるという利点はあるが、非常に数が少ないため、臨床での使用は限られている。培養系で造血幹・前駆細胞(HSPC)の増殖を高める小分子が見つかっているが、多くの場合、それらの作用機序や、それらが作用する経路の特性はほとんど解明されていない。ヒトHSCの自己複製を支える分子回路をより深く理解すれば、再生治療に向けてHSCを増殖させる標的戦略の開発を促すことになるだろう。転写因子ネットワークはヒトHSCの自己複製や細胞系譜決定に影響を及ぼすことが分かっているが、HSCの運命を導く転写後機構はあまり詳細に調べられていない。今回我々は、RNA結合タンパク質Musashi-2(MSI2)の過剰発現が、短期造血再構築能を持つ細胞を17倍増加させたり、長期造血再構築能を持つHSCのex vivoでの増殖を正味23倍増加させたりするなど、複数の自己複製促進表現型を誘導することを示す。MSI2–RNAの相互作用について包括的な解析を行うことにより、我々はMSI2が、臍帯血HSPCにおいてカノニカルな芳香族炭化水素受容体(AHR)経路の構成要素の転写後の下方制御を介して、AHRシグナル伝達を直接減弱させることを示す。今回の研究によって、自己複製の基礎となるRNA結合タンパク質が制御するRNAネットワークの機構的な手掛かりが得られ、また、そのようなネットワークをex vivoで操作することによりヒトHSCの再生能を高められるという証拠が得られた。

