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構造生物学:Plasmodium属選択的に働くプロテアソーム阻害剤の構造と機能に基づく設計

Nature 530, 7589 doi: 10.1038/nature16936

プロテアソームは多成分からなるプロテアーゼ複合体で、細胞周期や抗原提示などの重要な過程の調節を担っている。プロテアソームを標的とする化合物は、生存や複製がプロテアソーム機能に依存している病原体の処置に有用な手段となると考えられる。特に、プロテアソーム阻害剤はマラリア寄生虫の熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の生活環の全段階で毒性を示すことが明らかになっている。熱帯熱マラリア原虫に対して調べられた化合物の大半は、哺乳類のプロテアソームも阻害し、この毒性のためにこれらの化合物は治療薬から排除されている。従って、Plasmodium属プロテアソームの基質特異性や構造特性をより明確にすることができれば、十分高い選択性を持つ化合物の開発が可能になり、それらを抗マラリア薬として使用できる可能性がある。こうした目標を達成するために、今回我々は、ヒトと熱帯熱マラリア原虫のプロテアソームの特異性の差異を、基質プロファイリング法を使って明らかにした。次いで、熱帯熱マラリア原虫のプロテアソームに特異的なアミノ酸選好性に基づいて阻害剤を設計し、それらがβ2サブユニットを選択的に阻害することを見いだした。この阻害剤に結合した熱帯熱マラリア原虫20Sプロテアソームの構造を、低温電子顕微鏡法と単粒子解析法を用いて、3.6 Åに達する分解能で決定した。これらのデータから、熱帯熱マラリア原虫β2の活性部位が異例に大きく開いていることが明らかになり、活性部位の構造について有益な情報が得られた。これは阻害剤設計のさらなる改良に使うことができる。さらに、熱帯熱マラリア原虫のプロテアソームがアルテミシニン系の抗マラリア薬の耐性に関連するストレス経路に重要であるという最近の知見と一致して、アルテミシニンに感受性および耐性の寄生虫でこのβ2選択的阻害剤を低用量でアルテミシニン系薬剤と併用すると相乗的な増殖阻害作用が観察された。さらに、寄生虫選択的な阻害剤は、in vivoで寄生虫の増殖を減弱させるのに使用でき、宿主に大きな毒性を及ぼすことないと考えられることが実証された。従って、Plasmodium属のプロテアソームは化学的に操作しやすい標的であって、次世代抗マラリア薬の標的として使えると考えられる。

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