Letter
量子物理学:量子磁性流体のRosensweig不安定性を観察する
Nature 530, 7589 doi: 10.1038/nature16485
磁性流体は、その成分が磁気的性質を持つため、特異な流体力学的効果を示す。磁化が大きくなると、古典磁性流体にはRosensweig不安定性が生じ、自己組織化した秩序表面構造や液滴結晶が生成される。強い双極子相互作用を持つボース・アインシュタイン凝縮体などの量子磁性流体は、超流動も示す。双極子量子気体の分野は、連続対称性を破る新しい物質相の探索が動機となっている。超流体状態の位相不変性などの連続対称性と結晶の並進対称性が同時に破れると、このような新しい物質状態の基礎が得られる。しかし、超流動体では相互作用に誘起された結晶化はまだ観察されていない。今回我々は、in situイメージングを使って、ジスプロシウム原子のボース・アインシュタイン凝縮体において、構造化していない超流動体から液滴の秩序配列への自発的な転移を直接観察した。フェッシュバッハ共鳴を使って粒子間相互作用を制御して、有限波長不安定性を誘起させたところ、三角構造の離散的な液滴が観察され、液滴の数は原子数が増えるとともに増加した。我々は、こうした構造化した状態は意外なほど長寿命であることを見いだしており、ヒステリシス挙動も観察した。この挙動は結晶化過程に特有のものであり、Rosensweig不安定性とよく似ている。我々の系は、超流動と、ここで示したように、自発的な並進対称性の破れの両方を示す。今回の観察では構造化した状態の超流動は調べられていないが、液滴が弱リンクを介して共通の相を作れば、我々の系は超固体基底状態の非常に良い候補系となる。

