免疫学:腸上皮刷子細胞は蠕虫性寄生生物に対する2型粘膜免疫を開始する
Nature 529, 7585 doi: 10.1038/nature16527
蠕虫性寄生生物への感染は、世界的に大きな健康上の負担であり、また社会的な負担ともなっている。齧歯類の腸管寄生線虫の一種であるNippostrongylus brasiliensisのような蠕虫に対する宿主防御は、2型細胞性免疫によって調整されている。インターロイキン4(IL-4)やIL-13などを含む2型サイトカインの誘導は、粘液産生を伴う杯細胞過形成を引き起こし、最終的には寄生虫が排除される結果となる。しかしながら、2型応答開始の基盤となる機序は完全には解明されていない。今回我々は、定常状態の腸上皮中に存在するまれな上皮細胞種の刷子細胞(タフト細胞)が、サイトカインが仲介する細胞リレーによって、寄生虫に対する2型応答の開始に関わっていることを示す。刷子細胞は、Th2関連遺伝子の発現という特徴を持ち、蠕虫性寄生生物感染後に、上皮陰窩前駆細胞の直接分化によってIL-4Rα依存性の迅速かつ広範にわたる増殖を起こすことが分かった。また、Pou2f3遺伝子が刷子細胞の特殊化に不可欠であることも見いだされた。Pou2f3−/−マウスは、腸の刷子細胞を欠いていて、蠕虫感染に対する2型粘膜応答は不完全で、杯細胞過形成は起こらず、寄生虫排除は低下している。IL-4Rαシグナル伝達だけで刷子細胞系列の増殖を誘導するのには十分であり、このシグナル伝達カスケードの異所性刺激は、腸の上皮細胞リモデリングにおける刷子細胞の必要性を解消する。また、刷子細胞はIL-25を分泌し、それによって2型免疫応答を調節している。我々のデータは、腸上皮刷子細胞のこれまで知られていなかった機能を明らかにし、蠕虫感染に対する2型粘膜免疫の開始に必要な細胞リレーの存在を立証している。

