Letter

構造生物学:ホルミル化非リボソームペプチドシンテターゼの開始モジュールの合成サイクル

Nature 529, 7585 doi: 10.1038/nature16503

非リボソームペプチドシンテターゼ(NRPS)は非常に大型のタンパク質で、さまざまな生物活性を持つ小型ペプチド分子を産生し、その中には環境に優しい化学物質や広く使われている多数の治療薬が含まれる。NRPSは巨大分子機械で、モジュール性の組み立てラインの論法で構成され、複雑な触媒サイクル、可動性の部品と多数の活性部位を持つ。多くの場合、NRPSには基質の連結に必要なコアドメインの他に、特殊なテーラリング(tailoring)ドメインが含まれ、このドメインによって産物に化学修飾を導入して、広範な化学空間にアクセスできるようにしている。しかし、NRPSのテーラリングドメインが巨大酵素内部にどのようにして構造的に組み込まれているのか、また非リボソームペプチド合成で機能するように適応してきた仕組みについては、いまだに分かっていない。今回我々は、抗生物質を生産するNRPSである直鎖状グラミシジンシンテターゼの開始モジュールについて、一連の結晶構造を示す。このモジュールには特殊化したテーラリングドメインであるホルミル化ドメインが含まれていて、開始モジュールにおける組み立てライン上での合成の主な段階それぞれに相当する状態が捉えられた。コンホメーション間の移行は大規模で、ペプチジル運搬タンパク質ドメインとアデニル化サブドメインの両方が大きく動いて、離れた2つの活性部位の間で基質を運搬する。この構造から、小さなドメインがその限られた接続面の用途を変えて再活用することで、さまざまな結合相手と相互作用するというNRPSの卓越した多能性がはっきり示される。NRPSを新規な治療薬の生産に使うことを考えるならば、テーラリングドメインの働きの解明は重要である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度