Article

がん:がんにおけるVHL不活性化のID2依存性機構

Nature 529, 7585 doi: 10.1038/nature16475

がん幹細胞(CSC)を維持する機構は、腫瘍のプログレッションにとって極めて重要である。ID2タンパク質は、CSCの状態などのがんの特徴を支える。HIFα転写因子群、中でも特にHIF2α(別名EPAS1)は、CSCに発現し、その維持に必要である。しかしCSCにおいて、ID2が関与する経路あるいはHIF2α蓄積を駆動する経路はまだ明らかではない。今回我々は、DYRK1AおよびDYRK1BキナーゼがID2のトレオニン27(Thr27)をリン酸化することを報告する。低酸素は、DYRK1AとDYRK1Bの不活性化を介してこのリン酸化を減少させる。これらのキナーゼは、酸素正常状態で酸素感知プロリルヒドロキシラーゼPHD1(別名EGLN2)により活性化される。ID2はVHLユビキチンリガーゼ複合体に結合して、VHLに結合したキュリン2を解離させ、HIF2αのユビキチン化と分解を障害する。DYRK1によるID2のThr27のリン酸化は、ID2–VHL相互作用を阻害し、HIF2αユビキチン化を維持させる。グリオブラストーマでは、ID2がHIF2α活性を正に修飾する。逆に、DYRK1発現の増加はID2のThr27をリン酸化し、HIF2αの不安定化、グリオーマの幹細胞性の消失、腫瘍増殖の阻害、およびグリオブラストーマ患者の予後を改善する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度