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がん:IDH変異のあるグリオーマで見られるインスレーター機能不全とがん遺伝子活性化

Nature 529, 7584 doi: 10.1038/nature16490

IDH遺伝子の機能獲得変異は、グリオーマの臨床や予後の大勢を決める一連の事象を開始させる。変異IDHタンパク質は新しいがん代謝物である2-ヒドロキシグルタル酸を産生する。これが鉄依存性ヒドロキシラーゼを阻害し、その中には5′-メチルシトシンヒドロキシラーゼのTETファミリーが含まれる。TET酵素はDNAメチル化除去過程の重要段階を触媒するので、IDH変異のあるグリオーマはCpGアイランドが高頻度にメチル化された表現型(G-CIMP)を呈するが、このエピジェネティック状態の変化の機能的重要性は不明のままである。今回我々は、IDH変異を持つヒトグリオーマではコヒーシンとCCCTC結合因子(CTCF)の結合部位が高メチル化状態になり、このメチル化感受性インスレータータンパク質の結合が妨げられることを明らかにする。CTCFの結合の減少は、トポロジカルドメイン間のインスレーション(境界)の消失と遺伝子の異常な活性化に結び付く。我々は、ドメイン境界部分でCTCFが失われると、構成的エンハンサーとグリオーマのがん遺伝子として重要な受容体チロシンキナーゼ遺伝子PDGFRAとの間の異常な相互作用が可能になることを明確に実証した。IDH変異を持つグリオーマスフェアを脱メチル化剤で処理すると、インスレーター機能が部分的に回復し、PDGFRAの発現が低下した。逆に、野生型IDHを持つグリオーマスフェアのCTCFモチーフをCRISPRを使って破壊すると、PDGFRAの発現が高まり、増殖が亢進した。これらの知見は、IDH変異が染色体のトポロジーを破壊し、それによって調節因子の異常な相互作用が可能になってがん遺伝子の発現が誘発され、グリオーマの発生が促進されることを示唆している。

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