Letter

電気触媒:二酸化炭素の電解還元による液体燃料合成のための部分酸化された原子コバルト層

Nature 529, 7584 doi: 10.1038/nature16455

CO2の電解還元による有用燃料の合成は、特に再生可能エネルギーを用いて進められる場合、化石原料を置き換え、CO2排出量増加とそれによる気候への悪影響に対処するための「クリーン」な方策となる可能性がある。CO2の活性化によってCO2•−ラジカルアニオンなどの中間体が生成され、そうした中間体はさらなる変換が可能であるが、CO2の活性化には非実用的なほど高い過電圧が必要なことが多いため、重大なボトルネックとなっている。最近、酸化物由来の金属ナノ構造体に基づく電解触媒によって、低い過電圧でCO2の還元が可能になることが示された。しかし、こうした金属の電解触媒活性が自然酸化物によってどのような影響を受けるかについては、よく分かっていない。界面や欠陥などの微細構造特性がCO2還元活性に影響を及ぼすが、そうした特性の制御が難しいことが、その主な理由である。今回我々は、2つの異なる触媒サイトの役割を評価するために、純粋なコバルト金属と、コバルト金属とコバルト酸化物が共存するドメインという、2種類の原子4個分の厚さの層を作製した。コバルトは、CO2電解還元中に主としてギ酸イオン(HCOO)を生成する。我々は、原子レベルの薄層の表面コバルト原子が、バルク試料の表面コバルト原子と比較して、低い過電圧でのギ酸イオン生成に対する固有の活性と選択性が高いことを見いだした。原子層の部分酸化によって固有の活性がさらに向上し、40時間以上にわたって約10 mA cm−2の安定した電流密度と、わずか0.24 Vの過電圧で約90%のギ酸イオン選択性を実現できた。これは、以前報告された、同等条件で評価された金属電極や金属酸化物電極をしのぐ性能である。このように、適切な形態と酸化状態にすることによって、CO2電解還元反応に対してほぼ触媒作用を持たないと見なされていた材料を、活性触媒に変えることができる。今回の研究結果は、特に、原子スケールの構造と酸化物の存在の両方の影響に関して機構的理解がいったん深まれば、金属系のCO2電解還元特性の操作と向上に向けて新しい機会が開かれることを示すものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度