量子物理学:捕獲イオン量子ビットのための多元素論理ゲート
Nature 528, 7582 doi: 10.1038/nature16186
量子レベルでのハイブリッド物理系の精密制御は、量子に基づく多くの技術の実現に重要である。量子情報処理(QIP)と量子ネットワークの分野では、さまざまな提案によって、特定のタスクを最も適したサブシステムに委ねるハイブリッドアーキテクチャーの可能性が検討されている。例えば量子ネットワークでは、メモリー特性が優れたサブシステムから、ネットワークのノード間の情報の輸送効率がより高い他のサブシステムへ情報を転送するのが有利かもしれない。捕獲イオンでは、異なる核種でできたハイブリッド系から余分な自由度が生じ、系の制御を拡張し洗練するのに利用できる。これまで、QIP実験における共同冷却、散逸を通したエンタングルメント生成、1つの核種のもう1つの核種による量子非破壊測定に、異なる元素のイオンが使われている。今回我々は、異なる元素のイオン間のエンタングリング量子ゲートを実証する。この量子ゲートは、QIP、量子ネットワーク、精密分光、計測学、量子シミュレーションの重要な構成要素となり得る。レーザービームに誘起された状態に依存する力によって生じる有効スピン–スピン相互作用を通して、9Be+イオンと25Mg+イオンの間の幾何学的位相ゲートが実現された。単一量子ビットゲートや同じ核種のエンタングリングゲートと組み合わせると、この混合元素のエンタングリングゲートから、普遍的なQIPのためのそうしたハイブリッド系のゲートがひとそろい得られる。我々は、こうしたゲートのシーケンスを使って、CNOT(制御NOT)ゲートとSWAPゲートを実証する。また、こうしたゲートが熱励起に対してロバストであることを実証し、量子論理分光法において検出が改善されることを示す。さらに、異なるイオン種からなるエンタングル状態におけるCHSH(Clauser–Horne–Shimony–Holt)型のベル不等式の強い破れも観測した。

