量子物理学:2つの異なる同位体原子によるハイブリッド量子論理とベル不等式の検証
Nature 528, 7582 doi: 10.1038/nature16184
エンタングルメントは量子力学の最も基本的な性質の1つであり、量子情報処理(QIP)の重要なリソースである。同一粒子の2者間エンタングルメントは実験的に生成されて調べられており、光子対、単一光子、単一原子、固体中のさまざまな原子核が関与する、事後選択または伝令付きのエンタングルメント状態も生成されている。今回我々は、決定論的量子論理ゲートを用いて、異なるカルシウム同位体を用いた2つの捕獲イオン量子ビットの「ハイブリッド」エンタングル状態を生成し、生成した状態の完全なトモグラフィーを行い、同一でない原子によるベル不等式を検証した。我々は、量子ビットのエネルギー分裂に影響を受けないレーザー駆動の2量子ビットゲートを用いて、40Ca+量子ビット1個と43Ca+量子ビット1個を、同じイオントラップ中に3.5 μm離して保持し、忠実度99.8 ± 0.6%の最大エンタングル状態を生成した。この新規のエンタングル状態に対してCHSH(Clauser–Horne–Shimony–Holt)型のベル不等式を検証し、不等式が15標準偏差で破れていることを見いだした。この検証では検出ループホールは閉じたものの、局所性ループホールは閉じていない。混合種の量子論理は、メモリーの量子ビットを保護しながら、他の量子ビットに論理演算を行わせたり、他の処理ユニットとの光子インターフェースとして使用したりできるため、捕獲イオンに基づく量子コンピューターを構築する上で強力な手段である。ここで用いたエンタングリングゲート機構は、異なる元素に蓄積された量子ビットにも適用できる。これによって、光子散乱で生じるメモリーと論理ゲートのエラーの両方をフォールト・トレラントな量子エラー訂正に必要なレベル以下まで減らすことができると思われる。これは汎用量子計算に必須の前提条件である。

