Letter
材料科学:極端な近接場における放射熱伝達
Nature 528, 7582 doi: 10.1038/nature16070
ナノメートルの長さスケールでのエネルギーの放射伝達は、熱アシスト磁気記録、近接場熱光起電力技術、リソグラフィーなど、さまざまな技術にとって非常に重要である。実験的進歩によって20~30 nmという狭いギャップにおける近接場放射熱伝達が解明可能になったが、極端な近接場(10 nm未満)における定量的解析は、実験が困難であることから非常に限られてきた。さらに、先駆的な測定の結果は理論予測と数桁異なっていた。今回我々は、熱電対を埋め込んだカスタムメイドの走査プローブと、周期的な温度変調が可能な新しい微小デバイスを併用して、最小で2 nmという狭いギャップの放射熱伝達を測定した。我々は、適切に選択した金属層または誘電体層を走査プローブと微小デバイスの表面に析出させることによって、シリカ–シリカ表面間、窒化ケイ素–窒化ケイ素表面間、金–金表面間における極端近接場の放射を直接研究できるようにし、ギャップサイズに依存する顕著な放射熱伝達の増加を明らかにした。さらに、我々が揺動的電磁力学(fluctuational electrodynamics)の理論的枠組み内で行った最先端の放射熱伝達計算の結果は、今回の実験結果と極めてよく一致しており、数ナノメートルという狭いギャップにおける放射熱伝達のモデリングにこの理論が有効であることを裏付ける紛れもない証拠となる。今回の結果は、ナノスケールの放射熱伝達を利用する新技術の合理的設計に必要な基礎を築くものである。

