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進化学:単一遺伝子座での性依存的優性が、サケの成熟年齢のばらつきを維持する

Nature 528, 7582 doi: 10.1038/nature16062

雄と雌は、遺伝的基盤が共通する形質を多く共有するが、これらの形質に働く選択は雌雄間で異なることが多く、性的対立につながる。このような性的拮抗の下では、理論的には性的対立を解消するような遺伝的構造の進化が予想される。しかし、理論的、経験的に強い関心が持たれているにもかかわらず、性的に拮抗する表現型の原因となる特定の遺伝子座が明らかになることはまれで、性的対立がゲノムの進化や遺伝的多様性の維持にどのような影響を与えるかについては限られた理解しか得られていない。今回我々は、タイセイヨウサケ(Salmo salar)の成熟年齢の制御に大きな影響を及ぼす遺伝子座を明らかにし(サケの成熟年齢は重要な適応度関連形質であり、雄が雌よりも早く成熟することが選択として好ましい)、これが遺伝子座内の性的対立を減少させ、野生集団での適応的多様性を維持する性依存的優性の明確な例であることを示す。57の野生集団の高密度SNP(一塩基多型)データと全ゲノム塩基配列再解読法を使ってVGLL3(vestigial-like family member 3)遺伝子がサケで性依存的優性を示し、雄では早めの、雌では遅めの成熟を促進することを明らかにする。VGLL3は、ヒトの成熟時の体の大きさと年齢に関係する肥満調節因子で、表現型の違いの39%はこれで説明が付くが、この数字は、高度に多遺伝子性であると一般に考えられている形質に対するものとしては意外なほど大きい。このような大きな効果が予想されるのは、性的拮抗選択あるいは空間的に変動のある選択(spatially varying selection)による平衡選択が働いている場合である。今回の結果は、各性別内での表現型のより大幅な最適化を可能にする、優性の逆転の初めての経験例であり、成熟時の年齢と体の大きさとの間で広く見られる重要な進化のトレードオフにおける性的対立の解消に寄与している。またこれらの結果は、地理的に広いスケールで生殖戦略のばらつきが維持される仕組みに関する重要な経験的証拠でもある。これらの知見は、成熟が早まる傾向が観察されているさまざまな収穫対象種の個体群管理に大きな影響を与えると思われる。

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