Letter

微生物学:細菌細胞外被中の酸化されたタンパク質を呼吸鎖中の電子を使って修復する

Nature 528, 7582 doi: 10.1038/nature15764

活性酸素種と塩素は細胞成分に損傷を与え、それは細胞死につながりかねない。こうした損傷によって、タンパク質中ではイオウ含有アミノ酸であるメチオニンがメチオニンスルホキシドに変換され、生物活性を失う原因となることがある。メチオニンスルホキシド残基の生じたタンパク質を救済するために、生きた細胞では、細胞質、ミトコンドリア、葉緑体などのほとんどの細胞内区画でメチオニンスルホキシド還元酵素(Msr)が発現されている。今回我々は、細菌細胞外被中に生じたメチオニンスルホキシド含有タンパク質を修復する酵素系のMsrPQを明らかにした。細菌細胞外被は、宿主の防御機構によって産生された活性酸素種や塩素に特にさらされやすい細胞区画である。MsrPはモリブデン酵素、MsrQはヘム結合膜タンパク質で、ヒトの重要な病原体も含めたグラム陰性菌で広く保存されている。MsrPQの合成は、好中球が放出する強力な抗菌物質である次亜塩素酸によって誘発される。それと一致して、MsrPQは漂白ストレス下での細胞外被の完全性維持に不可欠であり、ペリプラズムの主要なシャペロンタンパク質であるSurAをはじめとして、構造的に似ていない広範囲にわたるペリプラズムタンパク質をメチオニン酸化から救済する。こうした活性のためにMsrPQは呼吸鎖からの電子を用いていて、これは細菌細胞外被へ還元等量を運び込む全く新しい機構である。MsrPQの注目すべき特徴は、メチオニンスルホキシドのRR配置)-ジアステレオマー、SS配置)-ジアステレオマーの両方を還元できることで、この点でこの酸化還元酵素複合体はこれまでに見つかっているMsrと機能的に異なっている。細菌の大きな分類群が単一種類の非立体特異的酵素複合体を含んでいて、これがメチオニン残基を酸化から完全に守っているという今回の発見は、真核生物の小胞体などの酸化的な細胞内区画での同様な系の探索を促すだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度