Letter

気候科学:急激な海洋温暖化と関連した北太平洋退氷期の低酸素事象

Nature 527, 7578 doi: 10.1038/nature15753

北太平洋から得られた海洋堆積物によって、最終退氷期に、海底の低酸素状態を伴って海中の酸素極小帯(OMZ)が2回拡大し強まったことを示す証拠が得られている。この低酸素状態を駆動する機構については、まだ議論が続いている。本論文では、アラスカ湾で得られた新しい高分解能のアルケノン古水温の復元結果を提示し、中間深度における低酸素状態への急激な変化と同時期のベーリング期の開始期と完新世の開始期に、4~5°Cの急激な温暖化事象が2回起きたことを明らかにする。珪藻質葉理泥岩と低酸素に耐性がある底生有孔虫が存在し、酸化還元に敏感な微量金属が最大になり、有機物の15N/14N比が大きいことを合わせて、高い移出生産との関連が示唆される。最も厳しかった脱酸素化事象に伴う底生有孔虫の18O/16O比の減少は、最大で約2°C海中が温暖化したことを示している。急激な温暖化は、酸素溶解度の低下と生理学的効果による海洋生産力の増加とを通して北太平洋OMZ拡大のきっかけとなったと推測される。低酸素化が始まった後、低酸素堆積物からの鉄の再流動化が、栄養素利用と炭素移出の増加を通して海洋の脱酸素化に正のフィードバックをもたらした可能性がある。そうした生物地球化学的増幅過程は、OMZの拡大が温暖化に対して感度が高いことを示唆している。

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