Article
発生:Dppの拡散は翅原基の中央部の成長には必要だが側方部の成長には必要でない
Nature 527, 7578 doi: 10.1038/nature15712
ショウジョウバエ(Drosophila)のデカペンタプレジック(Dpp)は、モルフォゲン依存性の成長制御を研究するための範例となってきた。しかし、Dppの勾配が組織の成長に果たす役割については意見がいまだに大きく分かれている。これまでに根本的に異なる2つのモデルが提唱されており、「temporal rule」モデルでは、翅成虫原基の全ての細胞はDppシグナル伝達が50%増加した時点で分裂するとしているのに対し、「growth equalization」モデルでは、Dppは中央部の細胞の増殖制御のみに必要だとしている。今回我々は、これら2つのモデルを検討するために、「モルフォトラップ(morphotrap)」を考案・作製して用いた。モルフォトラップは、膜に係留された抗GFP(緑色蛍光タンパク質)ナノボディーであり、増強型GFP(eGFP)を融合させたDpp(eGFP::Dpp)を細胞表面に固定して、Dpp勾配が形成されないようにすることができる。その結果、Dppの拡散がない状態だと翅原基のパターン形成は起こらないが、側方の細胞は正常速度で分裂することが分かった。これらのデータは「growth equalization」モデルと一致するが、翅成虫原基の全体にわたる「temporal rule」モデルとは適合しない。

