Letter

進化学:雌雄の羽衣の配色に生活史と性選択が与える影響

Nature 527, 7578 doi: 10.1038/nature15509

古典的な性選択理論は、雄の性的飾りの進化やシグナル伝達機能を解明するための十分に裏付けられた概念的枠組みをもたらす。こうした理論では、精子の生産コストが卵よりも低いため、複数回の交尾で得られる適応度利益は雌よりも雄の方が大きいと予測している。従って、性選択は雄に偏った二次性徴の進化につながると考えられる。しかし、雌に派手な性的飾りがある種も多い。これが、雄にかかる選択への相関した遺伝的応答によるものだとする見方は、雌の性的飾りに対する説明として100年以上にわたって広く受け入れられてきた。また、現在得られている理論的および実験的証拠は、遺伝的制約が性特異的な形質の進化を制限する場合があることを示唆している。これに対し、雌の性的飾りは、シグナル伝達の必要性に関する直接的選択の所産である可能性がある。雌雄両性の飾りの程度の種間パターンを調べた研究はほとんどないため、動物の性的飾りの進化はいまだに解明途上にあり、幅広い分類学的スケールにわたる解明は特に進んでいない。今回我々は、雌雄の性的飾りの配色を進化させた主要な原動力を明らかにするため、羽衣の色彩を定量化する新しい手法を開発して、これをスズメ目鳥類の約6000種全てに用いた。その結果、同種雌雄の色彩の程度は強く相関していることが明らかになり、一方の性の進化的変化がもう一方の性の変化に制約を受けることが示唆された。雌雄どちらも、大型種ほど、また熱帯環境に生息する種ほど飾りは派手である。雌の性的飾りは、協同繁殖を行う種、つまり生殖機会やその他の繁殖関連資源をめぐる雌同士の競争が激しいと考えられる種で顕著だが、雄ではそうではない。さらに、雄にかかる強い性選択には拮抗作用があり、雄の配色を派手にはするが、雌の性的飾りの程度に対してはそれよりも有意に大きい減退をもたらす。今回の結果から、性に依存しない色彩の進化には遺伝的制約が働いている可能性があるものの、性的飾りについては、雌雄共に形態的、社会的および生活史に関する変化要因と強く関係しており、多くの場合そうした関係は雌雄間で異なっていることが示唆される。

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