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分子生物学:ヒストンH1はDNA損傷後のユビキチンシグナル伝達の開始と増幅を連動させる

Nature 527, 7578 doi: 10.1038/nature15401

DNA二本鎖切断(DSB)は細胞毒性の高いDNA損傷であり、隣接するクロマチン領域のタンパク質非分解性のユビキチン化を引き起こして、DNA修復因子群の結合部位を生成させる。これはE3ユビキチンリガーゼRNF8とRNF168、およびK63連結型ユビキチン鎖を特異的に生成するE2ユビキチン結合酵素UBC13(別名UBE2N)の連続的な作用に依存している。RNF168はH2A型ヒストンのユビキチン化を触媒し、53BP1のような修復因子の動員を引き起こすことが知られているが、RNF8とK63連結型ユビキチン化に不可欠な基質は不明である。本研究では、ヒト細胞でRNF8とUBC13が、RNF168と下流因子のDSB部位への誘導を促進する仕組みを明らかにする。DSB部位でのUBC13に依存して起こるK63連結型ユビキチン化は、RNF168ではなく主にRNF8によって行われ、この修飾の主要なクロマチン結合標的が、コアヒストンではなくH1型のリンカーヒストンであることが確認された。RNF8によるユビキチン化を認識するRNF168のモジュール(UDM1)は、K63がユビキチン化されたH1に高い親和性を持つ読み取り因子であり、RNF168がDSBへ誘導される機構にRNF8とUBC13が必須の役割を持つことがこれによって説明される。この結果と一致して、リンカーヒストンの発現やクロマチンへの結合が低下すると、DSB近傍のクロマチンにおけるK63連結型ユビキチンと修復因子の集合が損なわれる。以上の結果は、ヒストンH1がDSBシグナル伝達におけるRNF8–UBC13の主要な標的であることを明らかにしていて、リンカーヒストンの翻訳後修飾が、ゲノム安定性維持に関わる因子群による認識と、おそらくはその後の過程に対する重要な標識として働く可能性を示しており、これはヒストンコードに関する概念を拡張するものである。

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