Letter

システム生物学:細菌のサイズや遺伝子発現の振動の根底になっているのはノイズの多い線形写像である

Nature 523, 7560 doi: 10.1038/nature14562

細菌は成長中に細胞のサイズが約2倍になり、その後分裂して、2個の娘細胞へと分かれる。この過程は細胞のノイズによる固有の摂動の影響を受けやすく、細胞のサイズの恒常性を保つ調節が必要となる。個々の細菌のサイズを長期にわたってハイスループット解析することが難しいため、細胞のサイズの制御と動態の基盤となる機構はほとんど解明されていない。今回我々は、さまざまな大腸菌(Escherichia coli)株の単一細胞の長期にわたる成長と分裂を、さまざまな成長条件の下で測定し、解析した。集団中の一群の細胞では、数世代(10世代以上)に及ぶ期間で、細胞のサイズが過渡振動を示すことが明らかになった。解析の結果、全ての大腸菌株における細胞のサイズの振動の起源が、細胞のサイズの制御を支配する「ノイズの多い線形写像」という単純な法則によって説明できることが判明した。このノイズの多い線形写像が細胞のサイズの制御に対する負のフィードバックとなる。すなわち、最初のサイズが大きい細胞は早期に分裂する傾向があり、小さい細胞は遅くに分裂する傾向がある。細胞の成長と分裂のシミュレーションを実験データと組み合わせることにより、このノイズの多い線形写像が、細胞のサイズだけでなく構成的な遺伝子発現にも過渡振動をもたらすことが実証された。我々の研究は、細菌細胞のサイズの調節の動態に関する手掛かりを提供し、これに関係する生理過程についても示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度