Letter
免疫学:HDLに結合したスフィンゴシン 1-リン酸はリンパ球形成と神経炎症を抑制する
Nature 523, 7560 doi: 10.1038/nature14462
脂質メディエーターが免疫に影響を及ぼすやり方は非常に多様であり、例えば、循環中のスフィンゴシン 1-リン酸(S1P)は、リンパ球遊出の重要な調節因子である。血漿S1Pの大部分は、高密度リポタンパク質(HDL)粒子中のアポリポタンパク質M(ApoM)に結合しているが、ApoM–S1P複合体の免疫学的機能は知られていない。今回我々は、ApoM–S1Pはリンパ球輸送には不必要だが、骨髄リンパ球前駆細胞上のS1P1受容体の活性化によってリンパ球形成を制限していることを示す。ApoMを欠損したマウス(Apom−/−)では、骨髄内でのLin− Sca-1+ cKit+造血系前駆細胞(LSK)およびリンパ球系共通前駆細胞(CLP)の増殖が亢進していた。S1P1の薬理学的活性化もしくは遺伝学的手法による過剰発現は、in vivoでLSK細胞とCLP細胞の増殖を抑制した。ApoMは骨髄CLPと安定的に結合していて、CLPではin vivoで活発なS1P1シグナル伝達が見られた。さらに、ApoMに結合したS1Pはin vitroでのリンパ球形成を阻害したが、アルブミンに結合したS1Pでは阻害が起こらなかった。Apom−/−マウスは、免疫刺激時に中枢神経系でのリンパ球増加と血液脳関門崩壊を特徴とするより重篤な実験的自己免疫性脳脊髄炎を発症した。従って、ApoM–S1P–S1P1シグナル伝達経路は、リンパ球分画の拡大を制限していて、そのために適応免疫応答をも抑制する。特異的なS1Pシャペロンによって与えられる独特な生物学的機能は、新たな治療機会のために使えるかもしれない。

